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自然ふれあい観察会in太宰府「市民の森でウォークラリー」を開催しました!
活動報告
街中からでも少し足を延ばせば、自然とふれあえる場所がある-これが福岡県の魅力の1つです。
「身近な自然とのふれあいを五感で満喫し、生きものと私たち人間の関係に思いを巡らせていただきたい。」そのようなコンセプトで、筑紫・糸島地区地域環境協議会(事務局:福岡県筑紫保健福祉環境事務所)の事業として、太宰府市民の森を舞台に、ウォークラリー形式で「いきものクイズ」を解きながら散策するイベントを開催しました。
- 開催日時:平成31年3月21日(木曜日・祝日) 9時30分から12時
- 開催場所:太宰府市民の森
- 参加者数:43名(大人21名、子ども22名)
- 講師:一般社団法人まほろば自然学校 代表理事 岩熊志保 氏、太宰府ワイルドライフリサーチ 代表 岩松慎一郎 氏
3月に入ってから周期的に雨が降るようになりました。数日前から天気予報では当日が雨の周期に重なると報じており、前日は日中よい天気であったにもかかわらず、夜には雨が降り始めました。
しかし、当日朝、雨がほぼ上がったのを見て、予定どおりにウォークラリーを開催しました。
【開会】
太宰府市民の森に集合。受付でフィールドマップ、解答用紙等を受け取ります。解答用紙を挟んでいる探検ボードは、子どもエコクラブから提供を受けた品物を活用させていただきました。
続いて、講師からウォークラリーの実施方法及び注意事項の説明がありました。
- クイズの解答は相談せずに自分で考えること。(解答用紙は各人に配布)
- 家族単位で行動し、単独行動はしないこと。(フィールドマップは家族に1枚配布)
- 雨上がりで滑りやすいので、十分注意すること。
フィールドマップには「いきものクイズ」設置エリアが6箇所示されています。各5問で合計30問。しかし、クイズは設置エリア内の見やすい場所にあるものばかりではなく、少々意地悪な場所にも設置されているとのことで、クイズ探しも楽しみの1つになります。
制限時間は90分。効率よくクイズ設置エリアを回れるよう家族で作戦を立ててから、いよいよ出発です。
【ウォークラリー】
あちこちで「あった、あった!」と歓声が聞こえてきます。なるほど、見つけるのが難しい場所にクイズが設置されていたようです。
徐々に晴れてきて、森の中にも日が射してきました。
午前11時。活動終了まであと15分。かなり暑くなってきました。全問見つけ終わって集合場所に向かう家族が多くなってきました。
【講師講話】
午前11時15分。クイズの正解発表の前に、本日、春分の日に太宰府市民の森で見つけた「春」が紹介されました。イロハモミジ、コブシ、レンゲ等の花が多数。ツクシも生えていました。キタキチョウ、テングチョウ、ベニシジミ等の蝶も見かけました。ウグイス、ヒヨドリ、ジョウビタキ等の鳥の声も聞こえました。
続いて、クイズの正解発表と解説です。
なかなかの難問揃いだったようで、正解が発表されると歓声よりも溜め息の方が大きく聞こえる問題もありました。
今回のクイズは、「生きものの不思議」や「生きものが暮らす環境」について尋ねる問題だけでなく、「生物多様性が私たちの生活にもたらす恵み」を知っていただいたり、「生物多様性を守っていくために私たちが何をすべきか」を考える問題もあり、ウォークラリーの中で参加者に生物多様性について深く知り、考えていただく意図がありました。
生きものが私たちの生活にもたらす恵みの1つとして、バイオミミクリー(biomimicry/自然界の生物が有する構造や機能を模倣し、新しい技術を開発すること)があります。
今回のクイズでも、「蚊にヒントを得た痛くない注射」が紹介されました。
ウォークラリーを通じて、「生きものに支えられている」「まずは知ることから」という講師からのメッセージが参加者に伝わったようです。
【まとめ】
最後に、事務局である筑紫保健福祉環境事務所から、生物多様性を保全していくために、一人ひとりにできることについて話をさせていただきました。
自然環境を構成している様々な環境要素(大気・水・土壌など)のうち、どれか1つが崩れても生物多様性は守られなくなります。その要因の1つとして、地球温暖化が挙げられます。
2015年に締結されたパリ協定で気温上昇を2℃未満にすることが国際的に合意されました。2℃を超えると、地球温暖化により起こりうる様々な被害のリスクがぐっと高まることになります。これまでどおりのペースで二酸化炭素が排出されると、あと30年もしないうちに2℃に到達すると予測されています。
そこで、国民全体で省エネ・節電に取り組むため、国はCOOL CHOICE(賢い選択)を推進しています。温暖化をこれ以上進行させないために何をすべきか(緩和策)。温暖化が進行している中でどういうライフスタイルを選ぶべきか(適応策)。熱中症予防対策も、重要な適応策の1つです。一人ひとりにできることがきっとあります。
世界では、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた動きが始まっています。しかし、難しく考えなくてもいい。家庭でできる省エネ・節電の取組みも「Goal13 気候変動に具体的な対策を」のゴールに向かうための一歩です。そして、「Goal17 パートナーシップで目標を達成しよう」のとおり、一人ひとりの力が束になって、ゴールへと進んでいくのです。
福岡県では、家庭における省エネ・節電の取組みを応援するために、エコファミリー登録制度を設けています。環境家計簿を活用して省エネ・節電に取り組むことが、ゴールに向かうための着実な一歩になるのです。
環境家計簿には食育編もあり、生活に欠かせない食事の中でも環境負荷を減らす取組みがたくさんあることが紹介されています。食材の地産地消は、輸入食材に比べて圧倒的に環境負荷を減らすことができるだけでなく、身のまわりの環境から恵みを受けることの素晴らしさを実感できます。
生物多様性を守るために私たち一人ひとりができることとして、省エネ・節電の取組みを紹介しました。
生物多様性は私たちの生活を支える基盤。だから、「生きものを支え、生きものに支えられる幸せを共感できる社会」を目指すのです。生物多様性を守ることは、未来の可能性を残していくことになるのです。
参加者の皆様の声
【お子さまより】
- 生きもののことをたくさん知った。
- もう春の生きものがいるのだと思った。
- 生きもののことがわかったし、人間にとっても大切なことがわかりました。
【大人の方より】 満足度 平均4.6点(5点満点)
- 適度な難易度で、初めての参加だったが楽しめた。
- 日頃しないような散歩でした。良い運動になりました。春を感じられて気持ちよかったです。
- 自然に親しみ、また自然について考えることができました。
- 子ども・大人、両方が楽しめた。
- 景色、空気が良かった。
- 時間が短いと思った。
- 「生きものに支えられている」「まずは知ることから」という言葉が響きました。